ソニーWF-1000XM5レビュー!初心者にもわかりやすく機能を解説
SONY ワイヤレスイヤホンの新型フラッグシップモデル WF-1000XM5 が発売されました。
僕自身は前モデル WF-1000XM4 からのユーザーで、使用時間は2,000時間オーバー。日常使いから仕事のWeb会議まで、ありとあらゆる用途で利用しています。今でもその性能には十分に満足し、新型を買う予定はなかったのですが、妻がノイズキャンセリング機能のついたイヤホンが欲しいとのことで、これはチャンスと新型を購入。
選んだカラーはプラチナシルバー。
ほぼ丸2年、毎日のように WF-1000XM4 を使っている僕が、新型の WF-1000XM5 をどう評価するのか。ノイズキャンセリング付きイヤホンを探している初心者にもわかりやすいよう、使用感を交えながら機能の紹介や製品の特徴をレビュー形式でお送りします。
WF-1000XM5はこんな機能を持つイヤホン!
この WF-1000XM5 をどのような用途で使うのか。音楽を聴く。デジタル耳栓として使う。Web会議に使う。充実した機能により、どんな用途でも性能を発揮できる万能イヤホンに仕上がっているのが最大の特徴です。
ノイズキャンセリングと外音取り込み
自ら世界最高と表すノイズキャンセリング機能は、雑多な街の騒音をかき消すパワーがあります。特に飛行機や電車内で響く騒音は大幅に遮断されるレベル。完全に無音になるわけではなく、すべての音域で可能な限りノイズが聞こえないようにカットするイメージ。
外音取り込みは、本体外側のマイクで拾った音をイヤホンを通じて聞こえるようにする機能。イヤホン越しの音なのに、足音などの小さな音もちゃんとリアルに聞こえます。アプリの設定で20段階の調整が可能で、人の声だけ聞き取りやすくするような設定もできます。
これらのモードの切り替えは、本体のタッチ操作で簡単に行なえます。
状態に応じてモードが切り替わる機能
歩いている・走っている・止まっている・乗り物にのっている、といった行動を検知して、自動的にモードを切り替える機能(アダプティブサウンドコントロール)を搭載。
動いているときは自動的に外音取り込みが ON になり、止まるとノイズキャンセリングのモードに変わるというもの。不要であれば解除できます。
更には自身の声に反応し、自動的に消音かつ外音取り込みモードへ切り替える機能「スピーク・トゥ・チャット」も用意されています。(咳払いでも反応してしまうため、僕はオフのまま利用している)
2台同時に接続できる
消費電力が削減された、Bluetooth 5.3 に対応。2台同時にペアリングできる、マルチポイント接続が可能。スマホとパソコン(タブレット等)に同時接続できます。
音の同時再生は対応していないので、音が聞こえるのはどちらか一方のみ。音を切り替える場合は再接続の必要なく、再生するアプリを切り替えるだけ。例えばパソコンで音楽を聴いているときに一時停止を押せば、そのままスマホの電話に出ることもできます。
2台の構成はスマホとスマホでも OK。個人用と会社用につなげて使い分けることもできます。
小型軽量化しても長時間利用を実現
本体は前モデルから 25% 小型化、20% 軽量化して、よりコンパクトサイズに。片側のイヤホンが実測値でたったの 6g、充電器は 38g ほど。合わせても 50g 未満です。
それでもバッテリー駆動時間は、ノイズキャンセリング機能を使っても8時間、オフにしても12時間の連続動作が可能。マイクを使った通話でも7時間駆動します。
充電器の内蔵バッテリーでは2回分の充電が可能で、トータル24時間以上利用できる計算です。
高音質でイコライザー調整可能
直径8.4mmと大きくなった新しいドライバー。音域の再現領域が広くなり、ノイズキャンセリング性能に影響する逆位相の音波をより正確に生成できるように進化を遂げました。
初期状態の音質はよりフラットな仕上がりに。
イコライザー設定による音域の調整幅も大きく、輪郭のはっきりした音や、マイルドな音など、8つのプリセットからの選択やマニュアル設定で好みのサウンドを簡単に作れます。
もちろんソニーが独自開発した高音質に特化したコーデック LDAC に対応。通常の3倍のデータ転送量で劣化が少ないハイレゾ音源を楽しめます。またハイレゾでなくても、リアルタイムに楽曲を分析してハイレゾのレベルまでアップスケーリングする DSEE Extreme 機能も内蔵。MP3 音源などでもクリアで臨場感のあるサウンドになります。
専用アプリで様々な設定が可能
WF-1000XM5 を利用する上で欠かせないのが、専用アプリ Headphones Connect です。ノイキャンなどの外音コントロール、イコライザーなどの各種設定、最適なイヤーピースの判定機能、タッチ操作の変更やソフトウェア更新など、アプリで自在に調整できます。
充電器のバッテリー残量がなくなると通知してくれるため、充電するタイミングを意識しなくて済むようになります。
その他の機能
- 本体の防水性能は IPX4 相当(充電器は非防水)
- 本体のタッチセンサーで操作可能
- イヤホンを外すと音楽を自動的に停止
- 360 Reality Audio 対応
- Android ヘッドトラッキング対応
- ヘッドジェスチャーで着信の受話・拒否が可能
WF-1000XM5 開封
パッケージの素材はソニー自らが開発した紙素材。竹・さとうきび・古紙を配合したもので、自由に成形できるのが特徴。独自の オリジナルブレンドマテリアル を使うことで、環境に配慮した取り組みをしています。
箱に入ったお菓子のように、ビニール素材でななく紙を破って開封する外装の作り。
インクの使用量を減らすために、エンボス加工で表現する工夫もなされています。
内容物・付属品
- WF-1000XM5 本体
- 充電ケース
- イヤーピース SS / S / M / L 【4種類】
- USB-C to USB-A ケーブル (20cm)
- 製品のサポート登録に関する用紙
- 使用上の注意、仕様・保証書の用紙
これまでの S / M / L に加えて、更に小さい SS のイヤーピース付き。耳の穴のサイズが小さい人でも大きい人でも、合わせやすいようラインナップされています。
どのサイズが自分にとって適切なのか、スマホアプリで最適なサイズを確認できます。
新しくなったイヤーピース
ノイズアイソレーションイヤーピースは、前モデル WF-1000XM4 の付属品よりも薄い構造に進化。耳の形に合わせて変形しやすく、より安定したフィット感を得られながらも、圧迫感が軽減しているが特徴。
また WF-1000XM5 本体にはホコリや耳垢の挿入を防ぐフィルターがなくなり、イヤーピース側にフィルターが張られる構造になりました。
ノイキャン性能の向上など、性能アップを図るための仕様変更とのことです。しかしフィルターのないサードパーティ製のイヤーピースを使うと、本体に耳あかが入って故障につながる可能性があるため注意が必要です。
それでもフィルターのないイヤーピースが使えないわけではなく、クリーニングする頻度を意識して増やすなど工夫が求められます。ただ別のイヤーピースを使うなら、フィルター付きで探すのをおすすめします。
イヤーピースにフィルターがついて、個人的には掃除しやすくなったと実感。
WF-1000XM5外観
本体の側面はツルツルした仕上がり、タッチ操作する面と充電器はマットに仕上げています。ふたを開けて本体を取り出すと自動的にペアリングが開始。簡単にスマホと接続できます。
WF-1000XM4 を使っているユーザーにはツルツルして取り出しにくいと不評なのですが、そもそも取り出し方法が変わりました。次のようにイヤホンを横に倒して取り出します。ちゃんとやり方がわかっていれば、新型のほうが取り出しやすいです。
イヤホン本体は丸みを帯びたコロコロしたデザイン。こんなに小さなイヤホンなのに高性能なノイキャン機能を有しているのは、他のメーカーと一線を画している小型化に強いソニーらしさを感じます。
左側のイヤホンには小さい突起。これは触っただけで左右を判別するためのもの。
本体の充電は USB-C 接続、またはワイヤレス充電に対応。充電器には新しくペアリング用のボタンが追加され、これまでよりも簡単に接続できるようになりました。
SONY WF-1000XM5 の使用感【レビュー】
総合的な満足度は高評価。フラッグシップ機としての性能は申し分ないほど優秀で、素直に買ってよかったと評価できる端末です。これまで旧モデル WF-1000MX4 を使っていたので、順当に進化しているのも実感できました。
実際に新型 WF-1000XM5 を使ってみた感想をまとめると次の通り。
- 小さくなって持ち運びが便利になった
- 軽くなって装着感はより自然なものに
- ノイズキャンセリング性能の性能が高い
- 外音取り込み機能は十分な実用レベル
- イコライザー調整で音質が向上
- 長時間の利用でもバッテリーがちゃんともつ
- マイク性能は可もなく不可もなく
- タッチ操作の感度が良い
- つるつるした本体は滑る感覚あり
- 快適になった Bluetooth 接続
サイズダウンにより携帯性が向上
最初に本体を手にしたとき「めっちゃ小さくなった!」というのが第一印象。新型 WF-1000XM5 は 約25% もサイズダウンし、充電器の厚みも薄くなって理想的な進化を遂げています。
サコッシュのような、薄手のカバンでも不格好にならず。携帯性が向上したのは嬉しいポイント。
向上した装着感
小さくなったことで新型は耳へ接する面積が減って負担が軽減され、自然な装着感を得られます。これまでの旧型でも十分に満足しているものの、実際に比べてみると新型のほうが軽い着け心地を得られます。
安定したホールド力があり、顔を左右に振ったくらいでは外れません。ジョギングなど運動時の装着も可能です。IPX4 の防水性能により、汗をかいたり雨に当たるような場面でも問題なく使えます。
ただし、これは最適なイヤーピースを装着した上でのこと。
サイズが小さいと外れやすいのはもちろん、隙間から汗がイヤホンの内側に入り込む可能性もあります。隙間があるとノイズキャンセリングも正しく機能しなくなるため、最適なイヤーピースを選ぶ必要があります。では、どのように自分に適しているイヤーピースを選ぶのか?
アプリから簡単に判定してくれる機能が用意されています。
またイヤーピースのウレタンが薄くなったことで、旧モデルと同じサイズのイヤーピースを使っても装着感が柔らかくなったのが好印象です。
ノイキャン&外音取り込みの満足度が高い
前モデル WF-1000XM4 も十分なノイズキャンセリング性能で、不満があるわけではありません。でも直接比較すると、新型の性能が向上しているとわかります。
エアコンの音、サーキュレーターの音、洗濯機の音、車が通る音、日常生活で聞こえてくるノイズは大幅にカットしてくれます。そのお陰で、ボリュームを小さくしても十分に聞こえ、長時間の利用でも耳にも優しく負担が少ないのが良いです。
また丸みを帯びた小さい形状が変わったことで、イヤホン装着時の風切り音が静かになった点は個人的に最も嬉しい改善点です。
外音取り込み機能は、想像以上に自然な感じ。イヤホンを通した音なので違和感がないと言ったら嘘になりますが、耳に異物感がありながらも音が普通に聞こえるのは不思議な気分です。あと静かな場所では、少しホワイトノイズが気になるかも。
これらの機能は、他社製品と相対的に比較すれば優位性の高い製品があるかもしれません。ただ WF-1000XM5 単体で評価すると、ノイズキャンセリングも外音取り込みも、充分満足な域に達しています。
イコライザーで好みの音質が得られる
正直、フラットな状態の音質だと若干の物足りなさがあります。もっと高音を鳴らしたい、重低音を強くしたいなど、各々好みに応じてイコライザーを調整することで一気に音質がアップするので調整は必須です。
イコライザーの調整方法は、用意された8つのプリセットから選ぶ方法、マニュアルで調整する方法、そして好みの音を選択肢の中から選んで調整するファインド・ユア・イコライザー機能が用意されています。
[ベータ] とある通りまだ不完全な機能ではありますが、音楽を聴き比べながら選ぶため、かなり好みに近い音質に調整できます。イコライザーの知識がなくても大丈夫です。
おすすめのイコライザー設定……と言うほどではありませんが、僕が好みで使っているカスタム設定を載せておきます。1つ目は Bright のプリセットを調整したもの。あとの2つはカスタムで設定したもの。参考まで。
長時間の連続利用も問題ない
移動時間に音楽を聴いたり Web 会議で利用しても、1回あたりの利用時間は概ね1時間程度。充電器の内蔵バッテリーも含めると24時間くらい使えるため、そこまで頻繁に充電する必要はありません。
ただ僕の用法で最も連続して使うのが、遠くに住んでる友達と週末に行っているオンライン飲み会。長いときは6時間。その間は外音取込みモードで利用して、バッテリーが切れることなく終始使えています。一方 AirPods を使っている友達は何度も有線イヤホンと入れ替えて充電しているので、バッテリー駆動の強さを実感しています。
充電はスマホに通知が届いたタイミングで行うので、あまり意識的に充電は行いません。もしうっかり充電を忘れても、3分の充電で60分再生できるクイック充電に対応しているので安心です。
マイク音質は許容範囲
他のワイヤレスイヤホンと比較すると、音質は圧倒的にソニーが良いです。ただそもそも、どのメーカーも音質が優れているわけではなく、比較するとソニーが優れているという程度。
音のクリアさを求めるなら、有線イヤホンのマイクが圧勝です。
それでも WF-1000XM4 よりマイク音質は良くなっています。クリアな音質と表現するには、あと一歩足りない感じ。それでも声が聞き取りづらいことはなく、Web会議や電話などの会話も自然です。また本体の形状が変わったことで、マイクに風の当たるような環境でノイズ(風切り音)が入りにくくなりました。
実用上、まったく問題なく使えるマイクです。
操作性:タッチ操作の感度は良好
仕事中はデジタル耳栓としても使っているため、割りと頻繁に外音取り込みとの切り替えを行っています。1回タップすれば、モードの切り替え。ノイズキャンセリング状態でロングタップすれば、その間だけ外音取り込みになる(クイックアテンション)など機能面でも使いやすいです。
タッチ感度はかなり良く、ストレスなく操作できます。本体が小さくなったため、最初は縁をタッチしてしまうこともありましたが、慣れてしまえばタッチしてるつもりが反応しないような、操作が空振ることもなくなります。
なおタッチ操作の内容は、予め用意された設定から自由にカスタマイズできません。左側は外音取り込みのモード切り替え、右側は音楽再生に関する操作。そしてこれら左右の操作は、入れ替え可能です。
本体はツルツルしている
イヤホン本体のタッチ操作する面はマット仕上げ、イヤホン本体の側面部分は光沢のある仕上がりに。ツルツルして若干滑る感じがあるのがマイナスポイント。
一方、サンドブラスト仕上げのようなカサカサした塗装の充電器。ふたを開けるとき、程よく引っかかる感じが心地よく、個人的にもお気に入り。
全体的マット仕上げだった前モデル WF-1000XM4 の手触りが良かったので、光沢仕上げになったのは残念な変更点です。(口コミでも、前モデルのユーザーからはあまり好評ではない様子)
簡単になったペアリング
充電器の背面にペアリングボタン新設されたことで、簡単に機器と接続できるようになったのは理想的な進化です。ふたを開けて、長押しする。それだけでペアリングがスタートします。
直感的にペアリングできるボタンだと分かりやすいのが良いです。僕は普段からスマホとパソコン2台に接続して利用するため、接続先を手軽に切り替えられるようになったのはとても嬉しいです。
WF-1000XM5 のメリット・デメリット
実際に使い込んで感じたことは、相変わらず使いやすいイヤホンだということ。前モデルも購入してから丸2年間ずっと使ってきたお気に入りの機種なので、評価に偏りがあるのは否めませんが、相対的に評価しても非常に良い機種だと思います。
メリット
- 小型・軽量で携帯性が抜群
- 優秀なノイズキャンセリング
- 実用的な外音取り込み機能
- 長時間の連続再生が可能
- マルチポイント接続
- 高音質で表現の領域が広い
デメリット
- 実売価格が3万円台後半
- 光沢のある本体が少し滑る
価格に関しては、フラッグシップ機であれば4万円前後は妥当なラインです。これだけ性能が盛り込まれた機種ですから、決してコスパは悪くありません。ただ数字で見てしまうと、ちょっと高いと感じでしまうわけで。
WF-1000XM5はどこで買うのがお買い得?!
実売価格は、通常価格 41,800 円から 10% 引いた、37,620 円前後です。公式のソニーストアで購入する場合は、無料会員になるだけで 10%OFF クーポンがもらえるので、他のネットショップと実売価格の差は遜色ない程度になります。
保証期間を重視するなら、圧倒的にソニーストアがおすすめ。ただし楽天ユーザーであれば、お買い物マラソンなどのセールを活用することで、ポイント還元率を一気に高くすることが可能です。そうなると、実質負担額が最も安くなるのは楽天になります。
保証で選ぶか、価格で選ぶか。そのあたりの話は、次の記事が参考になるのでご覧になってください。
まとめ
ノイズキャンセリング性能は世界最高峰レベルと自ら評する SONY の新型イヤホン WF-1000XM5 は、総合力が高いだけでなく使い心地も快適です。騒音が苦手であれば、デジタル耳栓として活用する方法もあり、単に「聞く」だけを目的にせず、幅広い用途で使えるのが大きな魅力です。
電車やバスの移動中や、運動しながら音楽を聴いたり、Web 会議で使ったり。あらゆるシチュエーションに最適化して、誰にとっても使いやすい高性能なイヤホンに仕上がっています。
ワンランク上のイヤホンを探してる方も、初めてノイキャン性能がついたイヤホンを探している方も、SONY WF-1000XM5 は間違いなく高い満足度が得られるイヤホンです。ぜひフラッグシップモデルだからこそ味わえる最高の品質を、試してみてはいかがでしょうか。