モバイルバッテリーが膨張したらどうする?!処分方法がとんでもなく面倒だった件
この話は、膨張したモバイルバッテリーを見つけて処分するまでの体験談です。多くの人が同じ状態で困っていると思うので、間違った対応をしないよう記録として残しておきます。
クローゼットにしまっていた旅行用グッズを整理していた時のこと。
車中泊用に使っていた 20,000mAh を超える大型モバイルバッテリーの様子がおかしい。手に持った瞬間、違和感を覚えた。横から見た姿は、中年のおじさんを彷彿させる腹のふくらみ。
ただ膨張しているだけでなく、プラスチックの外装に圧が掛かっているくらい強い力でパンパンに膨らんでいる。
入手した当初はこのような状態じゃなかった。そう思って過去の写真を見返すと、そこにはシュッとしたモバイルバッテリーの姿がありました。
ここまでパンパンなのは異常事態です。こうなってしまうと、放っておいても小さくなることはありません。そして膨張したバッテリーは、少し危険な状態とも言えます。
膨らんだバッテリーを使うのは危険
パンパンになった原因はガス
モバイルバッテリーに内蔵されるリチウムイオン電池は、経年劣化により電解質が酸化してガスが発生します。しかしそのガスが漏れないように、バッテリー全体が袋状のものに包まれた構造になっています。
ガスが溜まるとバッテリー本体が膨らみ、外装を圧迫してパンパンな状態になる。膨張の原因はガスです。
年数や使用頻度に関係なく膨らむ
僕の膨らんだモバイルバッテリーは、26,000mAh の超大型モバイルバッテリー。車移動時の予備バッテリーとして使っていました。
使用頻度は低く、購入から1年しか経っていないのに、ここまでパンパンに膨らむとは驚きです。これは推測に過ぎませんが、以下のいずれかの理由により膨張したと考えられます。
- 高温多湿のクローゼットで保管していた
- 満充電のまま放置していた
- 半年近く使わず放置していた
- 誤って落として衝撃を与えた
どれもバッテリーを劣化させる要因です。しばらく使わず放置するバッテリーは、フル充電ではなく残量 50% くらいで置いておかないと寿命が縮まります。他にも充電したまま放置することで、過充電により膨らむケースもあります。
経験から1つだけ言えること。Amazon で買える激安バッテリーの寿命は短い。
ガスを抜けば使える?
膨らんだバッテリーの対処法として、溜まったガスを抜いてはいけません。絶対に。
なぜか?
溜まったガスが安全であれば、そもそもガスで膨らむ構造にする必要がありません。発生したガスを逃さないよう膨らむ構造にしているのは、それが危険なものと考えるが自然です。
もっと具体的に掘り下げると、ガスが発生している時点でバッテリー内部において化学反応が起こっています。ガスが発生しても漏れない状態であれば安全ですが、そのガスを排出しようとした時点で危険が伴います。
最も危険なリスクは空気との化学反応による爆発。だから素人知識でガスを抜くのはNGなのです。
モバイルバッテリー発火のリスク
カバンの中に入っていたモバイルバッテリーが燃えたニュースを目にしたことはないでしょうか。例えばこちらのニュース、動画も掲載されています。
モバイルバッテリーが発火する要因は、大きく2つ考えられます。1つは強い衝撃を与えた場合。もう1つはバッテリーの劣化。多くの原因は衝撃によるものですが、発火まで至らなくても衝撃でガスを発生する場合もあります。
今回のように、膨らんだ状態から発火するリスクは限りなく低いです。しかし劣化してガスが出ているモバイルバッテリーを使うのは、危険を伴うため避けるべきです。
対処法は処分のみ
パンパンに膨らんだモバイルバッテリーを、元に戻す対処法はありませんです。そのまま使い続けると更にガスが発生し、破裂に伴う発火の危険もあります。
残念ながら最善策は「処分」しかありません。
処分時は USB 端子の穴をふさぐように、テープを貼って絶縁しておきましょう。
一般ゴミとして捨てられない?
アルカリ電池と違って、モバイルバッテリーは簡単に捨てられません。これはどの自治体でも似たようなルールが制定されています。エネループのような充電式電池も扱いは同じ。
理由はリサイクルできる素材を使っているのが最大の要因ですが、簡単にゴミとして処理できない側面もあります。
- ゴミ収集車の中で爆発する危険がある
- 同様に発火のリスクもある
- 充電式電池はリサイクル対象
家電量販店に回収 BOX はあるが…
例えば Anker や cheero のような、家電量販店で購入できるモバイルバッテリーの場合、家電量販店が回収してくれる場合があります。(対応しているのは一部の店舗のみ)
しかし残念ながら、膨張したモバイルバッテリーは回収対象外と記載があります。
ちなみに回収してもらえるのは、JBRC に加盟している企業の製品のみで、これがまた実にわかりづらいルールなのです。どのメーカーの製品か自分で調べなくてはいけません。JBRC 加盟企業の一覧は、次のページから閲覧できます。(手作り感満載のサイトですが、ちゃんとした公式サイトです)
例えば、次のようなメーカーのバッテリーは回収してくれます。
- アンカー・ジャパン
- CIO
- ティ・アール・エイ (cheero)
- エレコム
- パナソニック
Anker や CIO は以前まで JBRC に未加盟でしたが、現在は参加しています。また TRA 株式会社は、cheero ブランドを販売している会社です。おそらく社名を知っている人は、ほとんど居ないのではないでしょうか。ここが JBRC のややこしいところです。
ただ対象メーカーがわからなくても、バッテリーの本体に次のリサイクルアイコンがあれば対象になるようで。リチウムイオン電池以外でも、ニカド電池やニッケル水素電池もリサイクル対象になります。
回収場所の検索は、次のページを参考に。
このような回収ボックスが置かれています。店舗によっては表に出ていない場合もあるので、店員さんに確認してください。
Amazon で売っているような、中国系のよくわからないメーカーは JBRC に所属していません。そのため JBRC の回収ボックスで処分するのは基本的に NG です。まずはリサイクルマークを要チェック。
家電量販店で膨張バッテリーを回収してくれる?!
大手の家電量販店では、リサイクルマークがなくても独自にモバイルバッテリーを回収してくれる場合があります。どこまでが最新情報か不明ですが、調べた限りでは次のような対応が行われている様子。
家電量販店 | 膨張 | リサイクルマークなし |
---|---|---|
ヤマダ電機 | 回収可能 | 回収不可 |
ビックカメラ | 回収可能 | 回収不可 |
ヨドバシカメラ | 回収不可 | 回収可能 |
ただ膨張の度合いによっては、回収を断られるケースもあるようです。明確な判断基準はわからず店舗によって対応が違うようなので、近所に家電量販店があるなら確認してみるのも1つの方法です。
そもそも膨張していなければ、ハードオフなどの中古買取り業者で売却する手段もあります。ただし、2019年以降に販売された PSE マークのついた製品しか買い取ってもらえないので要注意です。
メルカリやヤフオクで売却する場合も、PSE マークが無い製品を取り扱うと違法になります。
自治体のルールに従う
ゴミで捨てられない、店舗の回収ボックスも利用できない。他にはどうすればいいのか?
残された道は、自治体に確認するしか方法はありません。例えば「市区町村名 モバイルバッテリー」で検索すると、処分方法が掲載された自治体のホームページが見つかるはずです。
例えば千葉県市川市では、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニカド電池等の「小型充電式電池類」を分別ゴミとしての収集が行われています。
また北海道札幌市では、破損・膨張したリチウムイオン電池やモバイルバッテリーを回収してくれます。しかも市内のビックカメラ、ヤマダデンキといった大型店舗でも回収してくれるのは良いサービスですね。
【環境局】破損・膨張したリチウムイオン電池やモバイルバッテリーは市施設等で回収しますのでお持ち込み下さい。場所:市役所本庁舎12階(循環型社会推進課)、清掃事務所、地区リサイクルセンター、リサイクルプラザ宮の沢、ビックカメラ、ヤマダデンキ、マツヤデンキ市内店舗https://t.co/Fi1mCL0BGi
— 札幌市広報部 (@Sapporo_PRD) April 1, 2024
お住まいの自治体でどのように処分できるか判断できなれば、電話またはメールでの問い合わせで確認を。リサイクルマークがなく膨張もしていて、どうやっても処分できない旨を伝えると、有償で回収してくれる産廃業者を教えてくれると思います。
僕が処分したいバッテリーは、リサイクルマークはついているものの Li-ion の記載がありません。(この微妙な判断が素人には難しい。)自治体のサイトには、役所内に回収ボックスがあると記述がありました。最終的に確認を取って、役所の回収ボックスで処分できました。
一応処分できても、自治体によって対応が異なるのはモヤモヤが残ります。本当にこの処分方法が正しかったのか、と。
分かりやすいルール化を希望
モバイルバッテリーの処分がこんなに苦労するとは想定外でした。処理方法が自治体ごとに異なる限り、普通に一般ゴミで捨ててしまう人が後を絶たないのも想像できます。これだけ分かりづらければ、バレなきゃ良いと不燃ゴミに出してしまう人がいてもおかしくありません。
JBRC に加盟していないメーカーのモバイルバッテリーが購入できる以上、処分における分かりやすいルールは必要不可欠ではないでしょうか。
わざわざモバイルバッテリーを処分するために、細かく調べる人はほんの一部です。だからこんな記事を書いても、多くの人には伝わらないのも理解しています。でも誰かの参考になってくれればと、記録として残しておきます。
今後は Anker の製品を買う
もうモバイルバッテリーの処分で右往左往したくありません。だから今後はリサイクルマークが確実についている Anker の製品、もしくは Anker が作っている無印良品のモバイルバッテリーを購入しようと思います。
大きなモバイルバッテリーは持ち運びの利便性が悪いので、買うなら小型で携帯性が良いモデル、もしくはプラグ付きモデルが機能性も優れていて良いです。
サイズ約 107 x 52 x 27 mm
重さ194g
USB-C出力5V = 3A / 9V = 2.78A
USB-A出力5V = 3A / 9V = 2A / 12V = 1.5A
最大出力25W (USB-C単体)
容量5,000mAh
サイズ約 103 × 63 × 14 mm
重さ113g
出力5V = 2.4A
容量5,000mAh
サイズ約 71 × 60 × 31 mm
重さ200g
出力急速充電時 MAX45W / バッテリー駆動時 18W
プラグ付きモデルはどうしても重くなる傾向にあるため、10,000mAh ではなく軽い 5,000mAh モデルがおすすめ
まとめ
モバイルバッテリーが膨張した場合
- すぐに使用をやめる
- 家電量販店で回収してもらえるか確認
- 自治体の公式サイトを確認
- よくわからなければ電話かメールで問い合わせ
今後モバイルバッテリーの処分に困らないために
- JBRC 加盟のメーカー製品を買う
- Anker、CIO、cheero、エレコムは問題なし
- 知らないメーカーのモバイルバッテリーは買わない
以上!