喫煙歴20年。禁煙外来でタバコをやめた体験談。セブンスターに別れを告げる

更新日: 公開日:2021/07/01
禁煙外来でタバコをやめた体験談

タバコの依存性は、吸っている本人が一番良く知っている。吸うときは簡単。でも、やめようと思ったところで、すぐに実行できない。

喫煙歴20年の僕が、何故タバコをやめようと思い、禁煙外来に通って禁煙を成功させたのか。また禁煙から1年以上経った現在どうなっているのか。これから禁煙をしようとしている人に向けて、僕の経験を記録として残しておきます。

目次

タバコを吸っていた頃の話

20歳とともに吸い始めた

大学受験で浪人をした僕は、入学早々に20歳になった。当時は軽音楽サークルに所属し、バンド活動に明け暮れる日々でした。

吸い始めたきっかけは、はっきりと覚えていません。ただ、高校卒業とともに就職した友人と一緒に遊ぶようになった影響が大きいと記憶しています。彼もバンド活動をしていて、よく朝までギターセッションしていました。

大人になったら酒を飲みタバコを吸う。それが自然な考えだった社会情勢も、タバコに手を出した1つの要因です。

手軽に買えたタバコ

当時はミレニアムや2000年問題などが騒がれた時代。周りは喫煙者ファーストな環境が揃っていました。大学のエレベーターホールに灰皿があり、中庭のように空が抜けていた食堂の一角でもタバコが吸える。駅のホームには喫煙所、歩きタバコの光景は当たり前。

セブンスターは1箱250円。今の半額以下です。時給の良い塾講師のバイトをしてたので、経済的負荷も少なく済んでいました。

やめる理由もなければ、禁煙を意識するきっかけもない。だから吸っていた。一度口にしたら最後、継続するしか選択肢がないと思わせるのがタバコの怖いところです。

時代の流れが変わってくる

社会人になっても周りは喫煙者ばかり。ストレスが多いシステムエンジニアの職種を選んでしまったのが、僕のタバコ生活に拍車をかけます。

顧客に無理な要求をされたストレスで吸い、理不尽な上司からのストレスで吸い、システムのアイデアが煮詰まると吸う。「喫煙所には情報が集まる」と言われていたほどで、タバコを吸わない非喫煙者さえも、上司の話を聞きに喫煙所へ出向いていました。

1日1箱。自由なお金が増え、吸う本数は増えるばかり。しかし時代は、少しずつ非喫煙者への追い風が強くなっていきます。

できごと
2003年都内近郊の私鉄が喫煙場所を全廃
2009年首都圏 JR 構内が終日禁煙へ
2010年タバコ各種銘柄が100円~140円の値上げ
2011年東海道新幹線の自由席が全車両禁煙に
2018年セブンスターついに500円になる
2020年東京都受動喫煙防止条例が施行

さらに拍車をかけるように会社のテナントが入るビルの喫煙所は減少傾向にあり、ビル全体が禁煙になるケースも珍しくありません。

2010年10月に実施された大幅な値上げで、喫煙率は大きく減少しました。僕の周りでは喫煙者が減った印象はないものの、唯一年を追うごとに新入社員の非喫煙率が増えているのは実感しました。

40歳で禁煙を決めてから成功するまで

タバコをやめるきっかけ

現在、僕はフリーランスとして活動をしています。開業届を提出してから5年。好きな仕事、得意な仕事で生計を立てています。もうサラリーマン時代のような強烈なストレスはなくなったのに、タバコの習慣は切り離せず。

なぜ吸っているのか?そう問われても「吸いたいから」といった安直な答えしか出てこない。依存性の高いものを20年間吸い続けたせいで、タバコを吸う理由すらも答えられない人間になってしまったのです。。

そんな時に、友人が禁煙外来でタバコをやめたと知ります。

その友だちは、待ち合わせすると必ず歩きタバコで現れるような、タバコ癖の悪い男でした。喫煙禁止区域の文字が読めないのか?と思うくらい、そこかしこで吸っている印象しかありません。仕事が出来るのが唯一の救いで、大手企業に転職してベンチャー企業の立ち上げに携わるほどの成功を収めています。タバコの話を抜きにしても、彼の話だけで記事が一本書けるほど一目を置く友人です。

彼がタバコをやめた知らせは、天変地異が起こったのかと思わせるほど驚きました。そんなに禁煙外来のパワーは凄まじいのか!この衝撃が僕にとってターニングポイントです。

じゃあ自分もタバコをやめよう。

東京都受動喫煙防止条例の施行が迫る2020年初頭。通っているバーも、お世話になっている居酒屋でも全面禁煙になってしまう。飲み屋でタバコを我慢するストレスに耐えられる自信がない。そんな社会情勢が後押しとなり、同じ喫煙者である妻もタバコをやめる流れに。

2人で禁煙するなら心強い。身近な友人が禁煙できた実績をなぞるように、僕と妻は保険が適用される禁煙外来への通院を決めました。

禁煙外来の概要

詳しく知りたい方は、リンク掲載したファイザーのサイトを参考に。ここでは箇条書きで簡単にまとめておきます。

  • 禁煙外来を行う病院を探して予約
  • 問診で禁煙の意思を確認しスタート
  • 通院は合計5回
  • 期間は12週間
  • 費用は保険適用で約2万円
  • 最大半年まで保険が適用される

禁煙外来を行う病院探し

禁煙外来は、特定の科で行われるものではありません。まずは禁煙治療を行っている病院を探すところから始まります。

検索サイトで「○○市 禁煙外来」のように検索すれば、近所の病院が見つかるはず。自治体によっては、禁煙外来に対応した病院のリストをホームページに掲載しています。

通院回数は5回。期間は12週間。20年間吸い続けてきたのを、たった12週間で終りを迎えられるのか?半信半疑でした。

禁煙外来の通院回数。初回、2週間後、2週間後、4週間後、4週間後

禁煙外来は、特定の薬を処方するために存在するようなもの。病院によって大きく質が変わる治療ではないため、自宅から一番近い病院を選択。事前に電話予約します。

禁煙外来開始

ニコチン成分が入った肌に貼るシールが処方されて、徐々に吸わない習慣を身につけていく。そんなイメージを持っていたけど、現実は全く違いました。

処方されるのはニコチン成分が入っていない、チャンピックスと呼ばれる薬。簡単に説明すると、ニコチンを吸った時に得られる快楽をこの薬で誘発するようです。

チャンピックス

最初の1週間は、薬を飲みながらタバコを吸うのが許されます。2週目から禁煙が本格的に始動し、薬の量が倍増します。

チャンピックスの効果が凄まじい

僕の場合、薬を飲み始めた最初の3日で、タバコを吸う本数が1日2本になりました。1日1箱20本も吸っていたのに、薬のパワーがえげつない。具体的には、薬の影響でタバコが不味くなります。例えるなら、パンの真っ黒に焦げた部分をコーヒーに入れたような味。ただ苦いものを吸っているようなイメージ。2口吸って火を消すほど、口に入ってくる異物感がすごい。

薬を飲み始めて5日目には、喫煙本数が0本に。ここで禁煙生活がスタートします。24時間1本もタバコを吸わないのは何年ぶりだろう?全く記憶にありません。

妻はそこまでタバコが不味くなる感覚がなかったようで、きちんと最初の1週間タバコを吸って、2週目から禁煙がスタートしました。

そして禁煙とともに、2人同時に訪れる体調不良。

チャンピックスは副作用が激しい

処方時に医者から説明を受けてびっくり。チャンピックスは副作用の影響が多岐にわたります。

  • 吐き気がある
  • 胃がやられる
  • 夜眠れない(不眠症)
  • 変な夢を見る
  • 日中の眠気や頭痛
  • 便秘気味になる
  • メンタルがやられる

ニコチンに変わって気分を良くさせるため、うつ病などの精神疾患時に処方される薬と効果が似ています。精神的に揺さぶられるような気分になるのが、とてもつらいです。

更には日中眠く、夜眠れなくなる。嫌な夢を見る機会も増えました。薬の影響で常に気だるさが伴い、うつ病が誘発されるような感覚に陥りました。

タバコをやめる強い意志がないと、この副作用に耐えるのは大変です。僕は在宅ワークのフリーランスなので、気分が悪くなったら横になり、復活したら仕事に戻れる状況です。一方パート務めだった妻は、体調不良になるのを見越してシフトを減らすなど調整していました。

副作用の重さは、人によって違うようです。それでも禁煙外来経験者の口コミを参考にすると、総じて「副作用がつらい」といった意見でした。

3日間 (72時間) の壁がきつい

タバコを吸わなくても、チャンピックスの影響でニコチンの離脱作用は弱まっています。しかし毎日1時間~1時間半の間隔で吸い続けてきた習慣を、スパッと切り離す生活に慣れません。タバコを吸いたい気持ちとソワソワする気持ちが行ったり来たり。自宅で喫煙場所としていた換気扇の下を行ったり来たり。

一段落したらデスクから離れて、タバコを吸う場所へ移動する。実際に吸わなくなっても、禁煙外来中はこのルーチン化された動きは続きました。そのうち1杯の水を飲むようになり、チョコレートを1かけら食べるようになり。と、代替のものに置き換えることで、気分的には楽になりました。

禁煙を始めて、特に最初の3日がつらいです。薬の影響で吸ったら不味い。でも吸いたい気持ちは消えない。仕事が手につかないくらい、不安定な3日間。その72時間を超えると、モヤモヤが取れたように心も体も一気に楽になります。

もしこれから禁煙外来に通うのであれば、禁煙スタートから3日間は仕事を休むくらいの余裕があると安心です。

禁煙すると体重は増えるのか?

今まで喫煙に当てていた時間が、手持ち無沙汰になる。吸いたい気持ちは減っても、何かを口にしたい欲望が残る。そして我慢の代償として、おやつを食べる機会が増えました。

タバコの代わりにおやつ。

急にカロリーのあるものを摂取し始めたら、結果がどうなるか容易に想像がつきます。禁煙外来の治療の一貫として、毎日体重を測ります。体重が右肩上がりなのは言うまでもありません。「禁煙すると食事が美味しくなるから太りやすくなる」とよく言われますが、それは間違いだと思います。

太る原因は、タバコの代わりにカロリーを摂取する人が多いから

食べた分、運動すれば消費できます。しかしチャンピックスを飲んでいると、体を動かす気力も奪われます。12週間、黙って体重が増えるのを耐えるしかなく、結局 3kg 近く増えました。

禁煙外来中でもタバコは吸いたくなる

チャンピックスのような強烈な薬のおかげで、タバコを吸う一歩手前で我慢できます。吸いたい気持ちは消えないものの、禁煙からの経過時間に比例して、少しずつニコチンへの依存が弱まっているのを実感します。

1か月経っても、吸わない生活には慣れません。2ヶ月経っても状況は変わらず。それでも気分的には「禁煙」ではなく「吸ってないだけ」といった感覚に変化します。4回目の通院を迎える頃には、自分の中では禁煙に成功した実感もありました。

ただ薬の副作用はずっと続きます。症状のつらさも変わりません。

副作用に耐え切れず薬の量を減らす

最後の4週間は、大幅にチャンピックスの量を減らしました。タバコをやめられた実感から飲む量を減らしたのではなく、精神的な刺激をする副作用が酷すぎて、仕事に影響が出始めたためです。

医者に相談し、薬の処方量はそのままに、状況に応じてチャンピックスを飲む量を減らしました。しかし完全に飲まない選択肢はおすすめできないと言われました。途中でやめると禁煙の成功率が大きく下がるらしいです。統計的な情報なのか、情報源は忘れました。

そう言われても、副作用が辛い。チャンピックスの半減期は20時間程度。これまで毎日薬を飲んでいるから、丸1日飲まなくても血中には薬の成分が残っているはず。そこで試しに、薬を飲むのをやめました。(本当は良くないとわかっていますが)

結果、体は楽になりました。

このとき東京都は、新型コロナウイルスによる1回目の緊急事態宣言の真っただ中。外出を控える生活が続き、タバコを吸う人を見かける機会もありません。視覚から他人がタバコを吸う姿がなくなるだけで、メンタル面も楽になります。タバコをやめるには、まさにベストタイミングでした。

最後の2週間、薬は一切服用していません。薬をやめても、誘惑がなければ禁煙は問題なく続けられます。もし吸いたい欲望に負けそうになったら、チャンピックスを飲めばいい。

そして最終的に医者から言われました。残った薬は辛くなった時に飲めばいい、と。

禁煙に成功しても喜びはない

通院によって強制的に始まった僕の禁煙生活。地獄のような副作用に苛まれながらも、挫折なく無事に12週間を終えました。一緒に禁煙生活を初めた妻も、同じく乗り越えました。

もしこのまま続けたければ、あと12週間保険が適用できると医者に言われましたが、間髪入れず断りました。大丈夫、もうタバコを吸わない生活に慣れたし、チャンピックスの悪夢はもう二度と経験したくありません。

こんな辛い思いをするのに、保険適用期間ギリギリまで使って禁煙する人なんているのか?ただの変人じゃないか。

通院を終える頃には、日常生活でタバコを禁止している感覚はありません。だから禁煙成功の喜びも皆無です。ただ吸ってないだけ。通院するまでは、タバコをやめる理由がなかった人。通院が終わったら、タバコを吸う理由がない人にアップデートされました。健康的な上方修正です。

禁煙外来から1年後

吸いたい気持ちはない

禁煙生活が半年過ぎたあたりから、タバコへの感情が一気に消えた感覚があります。無意識でタバコのことを考えなくなり、自分が吸っていた事実すら思い出さないほどに。そして1年も経つと、周りに喫煙者がいても全く気にならないレベルになります。副流煙程度じゃ、吸いたい気持ちは復活しません。

1本くらい吸ってもいいかな?そんな馬鹿げたことも考えなくなりました。

セブンスターを20年間吸い続けた僕が、たった3ヶ月の禁煙外来でタバコをやめられた事実。自分でも信じられません。

禁煙外来に通わなくてもやめられた?

自力で禁煙できる人が居るのは知ってます。でも病院に行かなければ、禁煙はできなかったと思います。なぜならタバコを吸った最後の感情が「気持ちいい」だから。いくらタバコをやめても、この「気持ちいい」思い出が残っている限り、禁煙を守れない可能性が高いと考えています。

禁煙外来に通うと、タバコを吸っても「おいしくない」や「気分が悪くなる」といったマイナス感情が残ります。そしてチャンピックスの副作用が辛い思い出も。もう2度と同じ経験をしたくない感情が、禁煙生活を後押ししてくれます。

振り返ってみても、僕が禁煙を成功させるには禁煙外来しかなかったと実感しています。

禁煙してよかったこと

  • タバコがなくてもイライラしない
  • コンビニに行く頻度が減った
  • 喫煙所を探すストレスがない
  • 夫婦で月3万円のタバコ代が0円に

タバコを吸わないことで開放されるストレスもあります。これは依存から脱しないと得られないものです。

我が家の会計において、自由に使えるお金が3万円増えたのは大きいです。この全額をつみたて NISA にシフトするだけで、老後2,000万円問題が一気にイージーモードになります。僕の場合は個人事業主だから2,000万円じゃ足りないけど、家計の負担が軽減されるのは間違いありません。

禁煙して悪かったこと

ない。

これまではストレス解消や気分転換など、理由をつけて吸っていました。でもそれは、喫煙者の言い訳に過ぎません。タバコでなくてもストレスを発散する方法はあるし、気分転換もできます。やめたところで困ることなんて1つもありません。

ただ1つ、休憩を取るのが下手くそになりました。目が充血するほどパソコン作業を続けたり、脚が痛くなるほどショッピングモールを歩き回る。これまで喫煙の時間が休憩を兼ねていたから、ちゃんと休む時間を作らないと体がもたないことを、40歳過ぎて初めて体感しました。

これから禁煙する人へ

タバコをやめるなら早いほうが良いです。周りの環境が……など、言い訳しているうちは、お金を使って禁煙外来に通っても失敗に終わります。禁煙するなら固い意志が不可欠です。

お金が掛かるのを嫌って禁煙外来を避けるのは、賢い判断とは言い難いです。嫌な思い出とともに禁煙したほうが、失敗のリスクを大幅に減らせます。自力できちんと禁煙できる自信がなければ、禁煙外来を利用するのが最も低コストで済みます。

チャンピックスの症状は人によって異なります。だから僕の情報を鵜呑みにしないでください。病院に通うのですから、状況に応じて医者に相談すればきちんと対応してくれます。

最後に。

禁煙してよかった。これだけは言えます。1年経った今でもそう思います。

この記事をシェアする